九天に鹿を殺す~煋王朝八皇子奇計~,圧巻の中華謀略譚!炎の龍に守護された中原の覇者・煋王朝。先代皇帝の崩御とともに、血を分けた八人の兄弟が、玉座を巡って奸智を尽くし命懸けで争う「九天逐鹿」が幕を開ける。燭龍の守護は、俗人の情を断ち切れぬ者に与えられることはない。今、玉座を賭けた死の遊戯が始まる――

九天に鹿を殺す~煋王朝八皇子奇計~

あらすじ

中原の覇者・煋王朝では、皇帝の崩御とともに、次代の玉座を巡り八人の皇子が争う「九天逐鹿(きゅうてんちくろく)」が幕を開ける。審判役である女帝の勅命のもと、蠱鬼(こき)を狩り、兄弟を陥れて、至尊の位にたどり着くのはただ一人。卑劣な奸計が蠢き、情を断ち切れぬ者から滅びていく。凄惨な戦いを潜り抜け、最後に笑うのは果たして誰なのか―― 。圧倒的な世界観で綴る、中華謀略譚。

人物紹介

閏水娥

18歳。九天逐鹿の間だけ玉座を預かるかりそめの女帝。次期皇帝即位に伴い殺される運命にある。

第一皇子,呂世建(りょ せいけん),26歳。先帝の皇長子。名門出身の皇后を母に持ち、尊大で気位が高い。
第二皇子,呂恭明(りょ きょうめい),25歳。物腰の柔らかい優男。色好みで享楽的な性格。
第三皇子,呂剛飛(りょ ごうひ),24歳。明るくおおらかで武芸に長ける。家族思いで息子を溺愛している。
第四皇子,呂威昌(りょ いしょう),20歳。第七皇子の脱落に伴い九天逐鹿に参加する。野心家。
第五皇子,呂革義(りょ かくぎ),19歳。物静かな文人肌。最近娶った王妃を深く愛している。
第六皇子,呂狗(りょ こう),16歳。母が大罪を犯したため、最近まで幽閉されていた。冷静沈着。
第七皇子,呂定穏(りょ ていおん),15歳。臆病で、九天逐鹿に恐れをなして開始早々に逃げ出す。
第八皇子,呂令哲(りょ れいてつ),15歳。純朴な性格。深く敬愛する母のために過酷な戦いに身を投じる。
第九皇子,呂至純(りょ しじゅん),13歳。一見幼く無邪気だが、敬慕する姉のために卑劣な行為も厭わない。
  • 蚤厓(そうがい)

    女帝付きの宦官。九天逐鹿を最高の見世物と言って楽しむ。

  • 陸豹(りくひょう)

    祭祀をつかさどる高官。九天逐鹿をひどく嫌っている。

  • 楽允(がくいん)

    恭明に仕える奴僕。

  • 羅良(らりょう)

    威昌に仕える近侍。

  • 杜善(とぜん)

    狗に仕える宦官。

  • 趙麗薇(ちょうれいび)

    革義の王妃。

  • 何少使(かしょうし)

    令哲の母。

  • 呂楚霞(りょそか)

    至純の姉。

用語集

  • 【龍生八子(りゅうせいはっし)】

    ト占で選ばれた、呂姓を持つ八人の皇子。

  • 【九天逐鹿(きゅうてんちくろく)】

    龍生八子による玉座争奪戦。凌咒剣(りょうしゅけん)で蠱鬼(こき)を斬ると、夭珠(ようじゅ)と呼ばれる玉を得られる。毎月末の解魄(かいはく)で定数を満たした者だけが戦いを続けることができる。武力と知略を尽くし、最後の一人となった者が次代の皇帝となる。

  • 【凌咒剣(りょうしゅけん)】

    蠱鬼を斬るための剣。もともとは九鼎(きゅうてい)のひとつ。皇帝が崩御すると、八本に分かれる。蠱鬼だけでなく、人も斬ることができる。

  • 【失鹿(しつろく)】

    蠱鬼に心の臓を喰われるか、解魄(かいはく)で落第するか、凌咒剣で斬られるかして龍生八子の肉体が滅び、霊魂が九鼎(きゅうてい)のなかに封じられること。

  • 【九鼎(きゅうてい)】

    皇帝の礼器。
    摧冥鏡(さいめいきょう)――
    莫謬硯(ばくびゅうけん)――
    弘衛盾(こうえいじゅん)――
    佯羲面(ようぎめん)―― 仮面
    兢惏爵(きょうりんしゃく)―― 爵(さかずき)
    斉厤琴(せいれききん)――
    來嘉扇(らいかせん)―― 紈扇(うちわ)
    凌咒剣(りょうしゅけん)――
    瑩鳳鐲(えいほうたく)―― 手鐲(うでわ)
    そのかたちにかかわらず、一脚、二脚と数える。

  • 【九重鼎(きゅうちょうてい)】

    九脚の九鼎(きゅうてい)のこと。天子の証。一脚でも国外に持ち出されれば、すべての九鼎が壊れてしまう。

  • 【禳焱(じょうえん)】

    皇帝が操る神威の炎。他国の侵略から国と民を守っている。

  • 【釁礼(きんれい)】

    凌咒剣に皇子の血をしみこませる儀式。

  • 【斂牙嚢(れんがのう)】

    夭珠を入れる巾着袋。

  • 【解魄(かいはく)】

    毎月末に、女帝が各人の夭珠を数えること。定数に満たない者は失鹿する。

  • 【推手(すいしゅ)】

    失鹿の対語。解魄に及第したことを表す。

  • 【問鼎軽重(もんていけいちょう)】

    何らかの理由で没収された夭珠の行方を皇子たちが話し合うこと。

  • 【既生覇(きせいは)】

    没収された夭珠をみんなで山分けすること。

  • 【既死覇(きしは)】

    没収された夭珠をめぐり、皇子に擬態した蠱鬼を狩る競争をすること。

  • 【蠱鬼(こき)】

    皇宮に現れる妖怪。人に擬態して、凌咒剣を持つ者を襲う。斬られると黒い血を流す。
    下級蠱鬼の蝪(とう)、中級蠱鬼の蠕(ぜん)、上級蠱鬼の蟜(きょう)、最上級蠱鬼の蜿(えん)がいる。得られる夭珠はそれぞれ白玉、紅玉、黄玉、翡翠。