かける

短編小説新人賞

選評付き 2017年度

年間最優秀賞発表!

選評

《青少年と足違えの人魚》

  • 編集A

    色彩イメージがきれいな作品でしたね。独特の雰囲気があるのもよかったです。

  • 三浦

    一行目から、作品世界に引き込まれました。描写もうまかったですよね。

  • 編集E

    ただ、日常へと戻っていく主人公に、何の変化も起こっていなかったのは残念でした。

  • 編集B

    あと、「日常」を青で、「非日常」を赤で象徴して描いているのはすごくよかったのですが、惜しくもラストでそれが崩れてしまっていましたね。そこがうまくいっていたら、さらに完成度の高い作品になっていたと思います。

《少年夏色タイムリープ》

  • 編集B

    キャラクター同士の掛け合いが楽しかったです。

  • 編集D

    私は本当に、この作品のキャラクターたちが好きでした。

  • 編集H

    愛しいキャラクターたちがいっぱい出てきましたね。

  • 三浦

    脇役の友人や先生までもが、すごくよかったですよね。記憶に残る登場人物たちです。

  • 編集D

    「野球」に関する部分には下調べが足りていなかったですが、それを凌駕するくらい、魅力の詰まった作品だと思います。

《海底に降る》

  • 編集B

    これはとても秀逸な作品でした。心理描写もいい。一人称で語る主人公が、苦しみや寂しさを軽い語り口の下に隠しているのが、逆に胸に迫ってきます。

  • 三浦

    切なさや切実さが感じられますよね。

  • 編集B

    投身自殺して海の底にいる人と、イヤホンで繋がるという発想もよかった。

  • 三浦

    海底の彼女と通信するシーンも、非常にうつくしかった。「急にファンタジーに......」とは思わせない説得力がある。主人公に読者が思い入れ、彼女の心情にリアルさを感じることができたからだと思います。

  • 編集B

    で、主人公もちゃんと、「私の勝手な妄想かも知れない」と言っている。

  • 三浦

    そのあたりの塩梅が絶妙でした。

  • 編集C

    ビジュアルもすごくよかったと思います。

  • 三浦

    日常の風景がきらめいて見える描写でしたよね。とても好きな作品です。

《ままならない君に》

  • 編集B

    これはとても感動的でした。私はラストで大号泣しました。

  • 編集H

    僕も好きな作品です。特に、終盤の合唱シーンは素晴らしかったですよね。

  • 三浦

    エモーションが炸裂するところが、うまく描けていて、胸に迫りました。

  • 編集F

    圧巻でしたね。

  • 編集B

    人物描写や心理描写も、とてもうまかったと思います。学校での微妙な人間関係、生きづらさを抱えている少年、違和感を抱えながらも自分を偽っている主人公。そういったあれこれが、歌声の高まりとともに力強く昇華していくクライマックスは、本当に見事でした。しかも、安易なハッピーエンドではない。「明日からはまた元通りかも」という冷静な視点がちゃんとある。そういうあたりもすごくよかったですね。大好きな作品です。

《タフォニの埋葬》

  • 編集F

    すごく斬新な話でしたね。

  • 三浦

    「タフォニ」という要素を、非常に巧みに話に組み込み、テーマに活かしていましたね。とてもうまいなと思います。主人公の想い人である、優しくて優柔不断な大学の先生の描き方もよかったです。「こんな男を好きになったら、不幸になる」感が、よく出ていた。

  • 編集A

    同時に、女の独占欲も、思いもかけない強烈さで描けていました。

  • 編集C

    恋心を掘り下げた作品になっていて、とてもよかったと思います。

《夢の中のあの子の魔法》

  • 三浦

    可愛い雰囲気の作品でしたね。

  • 編集B

    文字組みがぎゅうぎゅう詰まっているんだけど、すごく読みやすかったです。

  • 編集H

    夢に入ってくる女の子が、とても可愛らしかったですね。

  • 編集B

    夢の中で、二人で気を遣い合ってるところも好きでした。「ごめんね、妙な服着させちゃって」「こちらこそ、お邪魔しちゃって」みたいな(笑)。

  • 三浦

    あと、主人公が真相を詮索しないところが、私はすごくいいなと思いました。登場人物に品性が感じられますよね。作者の、人間や世界の捉え方そのものに、品があるからなんだろうなと思います。

  • 編集E

    ラストも、希望が持てる感じでいいですよね。

  • 三浦

    はい。明るい未来へと激変したというわけでは決してないんだけど、その辺りの塩梅もまた、すごくよかったなと思います。

《カラマリあう願いに、隠し包丁》

  • 編集A

    女子の会話が、リアルでよかったです。

  • 編集F

    リアル女子のやり取りとか、距離感、空気感といったものが、とてもよく出ていたと思います。うまいですよね。

  • 編集B

    ちょっと露悪的な一人称の語りを通して、実はとても深い友情が描かれているんですよね。最後まで読むと、腑に落ちる感じでした。

  • 編集D

    ただ、ちょっとよくわからない書き方になっているところがいろいろあって、読者が戸惑うのではという懸念もありましたね。

  • 三浦

    受け取り手によって、解釈の分かれる作品ですよね。でも私は、そこもこの作品のいいところだと思います。あれこれ想像しながら、楽しく切なく読みました。主人公が語っていることを、文字通りに信じて受け止めているだけでは、見えてこない「何か」がある。そういう重層性と奥行きのある作品で、「小説を読む」という行為の楽しさと刺激を味わえました。

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