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テーマは「芝居」

繫栄を謳歌する大凱帝国。太子妃を定める東宮選妃に参加した汪梨艶は目立たず平穏に暮らすことを願っていた。皇太子・高礼駿は品行方正な青年を演じつつ、殺された母の仇を討とうと復讐心を燃やしていた。巷間では邪教として弾圧される怨天教が王朝転覆を狙い、奸計を巡らせていた。それぞれの思惑を胸に役者が揃った禁城で、血塗られた陰謀劇の幕が上がる。

登場人物

汪梨艶(おうりえん)

汪梨艶(おうりえん)

従五品を賜る汪家・先代の主の娘だが、「女優の子」であったため長く虐げられてきた。かばってくれる兄の成達を心のよりどころにして生きている。兄のため、次代の皇帝となる皇太子の妃の位階を定める儀式「東宮選妃」に参加するものの、後宮で目立つことなく生きていきたいと考えている。その生まれも相まって、芝居についての知識と演技の才能には突出したものがある。

高礼駿(こうれいしゅん)

高礼駿(こうれいしゅん)

皇太子。宣祐帝の八番目の皇子であり、決して皇位に近い存在ではなかったが、ある理由から皇位を望み、「理想的な皇子」を演じ抜くことで皇太子の位を手にする。権勢欲が渦巻く「東宮選妃」には全く期待していなかったが、汪梨艶と運命的な出会いを果たすことに。

宣祐帝・高隆青(こうりゅうせい)

宣祐帝・高隆青(こうりゅうせい)

現在の皇帝にして礼駿の父。後宮の権力争いを抑えるために迎えた皇貴妃・李紫蓮を寵愛している。善政を敷くかたわら、邪教・怨天教に苛烈な弾圧を加えている。

尹貞娜(いんていだ)

東宮選妃に参加する尹家の令嬢にして宣祐帝の皇后尹氏の姪。十八歳。礼儀作法に通じた文字通りの「淑女」で、気品に溢れる美女。

李彩蝶(りさいちょう)

東宮選妃に参加する李家の令嬢で、李太后、李皇貴妃の縁者。十六歳。可憐な美貌をもつ深窓の令嬢ながら活発な性格で、窮屈なことが大嫌い。

李太后

太上皇・高遊宵が生涯で最も愛した女人にして、太上皇亡き後も宮廷と後宮に多大な影響力をもつ皇太后。

李皇貴妃

宣祐帝の寵妃。李太后に見いだされ、後宮を平穏に治める任を帯びて入宮した。宣祐帝が最も信頼する女人。

尹皇后

宣祐帝が東宮の頃に迎えた妃。名家出身のおっとりとした佳人で、後に入宮した李皇貴妃とも仲がよい。

松月王・高仁徽(こうじんき)

宣祐帝と尹皇后の間に生まれた皇長子。二十二歳。皇太子にふさわしい人格者だったが、ある理由のため皇太子候補から外れる。

整斗王・高秋霆(こうしゅうてい)

皇二子。母は廃妃蔡氏で、李皇貴妃に養育された。方正謹厳な人柄だが、母が罪人のため皇太子候補にはならない。

恵兆王・高慶全(こうけいぜん)

李皇貴妃を母に持つ皇三子。二十一歳。酒色に耽る軽佻浮薄な人柄で、皇太子候補から外された。

登原王・高鋒士(こうほうし)

金髪碧眼の皇四子。二十歳。一般的な凱人と異なる容姿は、北狄鬼淵の王女・凌順妃を母に持つ血筋ゆえ。

充献王・高正望(こうせいぼう)

許寧妃が産んだ皇五子。十九歳。勉強嫌いの偏食家で、大の甘味好き。

粛戒郡王・高爽植(こうそうしょく)

徐英姫が産んだ皇七子。父帝の侍妾と密通し、さらに邪教・怨天教に入信したことで親王位を剥奪された。

和慎公主・高月娘(こうげつじょう)

皇三女。礼駿の同腹姉。三十歳。生母である万充華に生き写しの美貌を持つ。

寿英公主・高淑鳳(こうしゅくほう)

李皇貴妃を母に持つ皇十女。二十一歳。人並み外れた学問好きが高じて未だに独身。

汪成達(おうせいたつ)

歴史ある武門・汪家の当主で梨艶の兄。家中で虐げられてきた梨艶に唯一優しくしてきた。

同淫芥(どういんかい)

梨艶付きの首席宦官。女遊びと噂話に目がない怠け者。

茜雪(せんせつ)

汪家から梨艶に従ってきた侍女。もとは成達付きで、卑屈な梨艶に厳しい。

失邪蒙(しつじゃもう)

礼駿に仕える首席宦官。

冥朽骨(めいきゅうこつ)

もとは礼駿の母・万充華付き宦官で、現在は礼駿に仕えている。

世界観

凱王朝(がいおうちょう) 凱王朝(がいおうちょう)

高氏が皇統を受け継ぎ支配する中華帝国。その繁栄は爛熟期に達している。

後宮(こうきゅう) 後宮(こうきゅう)

皇帝に仕える数多の女性たちが暮らす宮殿。

凱帝国後宮制度
東宮選妃(とうぐうせんひ) 東宮選妃(とうぐうせんひ)

皇太子の花嫁候補となる女人たちの人品を見極め、東宮妃妾の序列を決めるための儀式。

凱帝国東宮妃妾位階
宦官(かんがん) 宦官(かんがん)

皇帝や後宮の女性たちに仕える奴僕ぬぼく 。人為的に去勢されており、「騾馬」という蔑称で呼ばれる。人間扱いされず苦役に従事する者が大半だが、高官をしのぐ権勢をふるう者もいる。

番外編紹介

『後宮戯華伝 宿命の太子妃と仮面劇の宴』発売記念,はるおかりの書きおろし番外編
鴛鴦の衾

皇太子・高礼駿は、ついに汪梨艶と婚礼の日を迎えた。待ち焦がれていた初夜、礼駿は期待に胸を轟かせながら花嫁の閨に向かう。だが、梨艶は何かを勘違いしているようで……?

烏鳥の私情

ある密命を帯び東宮選妃に潜入していた宦官・独囚蠅。地方の名家に生まれ、神童として将来を嘱望されていた囚蠅は、なぜ宦官に身を落としたのか?

梨花万片、東風を追う

汪家の先代の主の子でありながら、「女優の子」として蔑まれていた梨艶をかばいつづけてきた兄の汪成達。太子妃となった妹と対面した成達は、幼き日の梨艶との出会いを思い出す――。

既刊紹介

テーマは「染め物」

後宮染華伝,黒の罪妃と紫の寵妃

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テーマは「芝居」

後宮戯華伝,宿命の太子妃と仮面劇の宴

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