桑原水菜スペシャルメッセージ
思えば、あっという間の4年間でした。
1990年に始まった本編が完結したのは、2004年。
そこから邂逅編、幕末編と過去を綴り重ね、この昭和編で物語はついに本編の1巻へと繋がります。過去を巡る環の完成です。
昭和編は潜れば潜るほど水圧が高くなる手強い物語でしたが、昭和三十年代という時代背景と共に、とても書き甲斐のある作品でした。
最後までおつきあいくださった皆さんにとって、忘れられない物語となりますよう。
炎の蜃気楼 昭和編のあらまし
終戦からおよそ10年経った昭和の日本を舞台に、怨霊を調伏するために生き続けてきた上杉景虎をはじめとする夜叉衆と、復活を果たした織田信長との対決が描かれる。また、熾烈になっていく戦いの中で、怨霊の存在、他者の肉体を奪い換生することへの葛藤、主従に生じた歪み、仲間との絆・希望など、複雑化する心理と人間模様を見事に描き、本編となる「炎の