物語は、「女性が医師になれない国」で始まるー
笙 碧翔 莉国皇帝。母である皇太后が体調を崩し、男性医師に体を見せることを拒否したため、珠里に診療を依頼する。
范 珠里 医師の父親亡きあと、父の医院を守っている十七歳の少女。医薬学の心得はあるが、女性は医師免許が取れないため、診療ができないでいる。
シリーズ第二弾『珠華杏林医治伝 ~乙女の大志は未来を癒す~』登場人物紹介
皇太后 碧翔の母。「人妻となった女が夫以外の男に触れさせてはならない」という「婦道」を貫くため、男性医師の診察を拒んでいる。
莉香。碧翔の姉。皇太后が碧翔の養育に専念するため、幼いころに西州に里子に出された。そのせいで皇太后と折り合いが悪い。自由で破天荒な性格。
唱堂。皇城の医官。西州の出身で、莉香とは昔なじみ。
腕利きの医師の娘に生まれ、医薬学の心得を持つ娘・珠里。父の亡き後も医院を守っていたが、彼女の住む莉国は、女性が医師になることを禁じている。そのため、珠里がどれほど医学を志そうとも、苦しむ人々を診療することはできなかった。そんなある日、突然皇帝の使者があらわれ、珠里をむりやり連れ去ってしまう。皇城で待っていたのは皇帝・笙碧翔。彼の母である皇太后が病に伏しているが、「婦道」を貫くため男性医師の診察を拒否しているのだという。そこで碧翔が白羽の矢を立てたのが、女の身でありながら医薬学に通じている珠里だった。苦しむ皇太后を気の毒に思った珠里は、彼女の病の原因を見つけようと奔走するが、そこには珠里が、そして碧翔さえも思いがけない真相が――?
お前が、范珠里か?
理由も知らされず、突然都へ呼び出された珠里を皇城で待っていたのは、なんと莉国皇帝の笙碧翔! 驚きのあまり、皇帝相手に非礼な態度で接してしまう珠里を、碧翔は尊大かつ性急な態度で後宮へ連れ去る。だが、そこで彼が口にしたのは、珠里に「あること」を懇願する言葉だった――。
「皇太后様が快癒したあかつきには、私を医師にしてください」
母である皇太后に冷たい態度を取る長公主・莉香に「皇太后の病状が改善しなければ、責任を取ってもらう」と告げられた珠里。「守るべき倫」という建前で人を縛る様々な理不尽さへの怒りがこみあげた珠里は、治療が成功したら、褒美として、自分を女医としてくれるよう、碧翔に願い出るのだが……?
「犬だって、三日飼えば情がわくって言うじゃないですか」
好転しない皇太后の治療を続けるうち、彼女の内に秘められていた、ある「心の闇」に直面することになった珠里と碧翔。真摯に母を思うがゆえに無言で苦しむ碧翔の心中を察した珠里は、下手な腕前の茶を彼にふるまいながら、すっとんきょうな言葉で彼を慰める。皇帝を相手にしたと思えぬ彼女の言葉に碧翔は――!?
……はたして、珠里は皇太后の病を癒し、「女医」になることができるのか!?
物語は『珠華杏林医治伝』の18年後!?
『春華杏林医治伝』の物語は、前作の18年後が舞台。前作のキャラクターも、様々に成長した姿で登場する。大きく変化した莉国にもご注目を。
莉国に「女性医官」が誕生!?!?
女医を禁じたかつての莉国で、初めての女医になることを目指した前作のヒロイン・珠里。彼女の努力は身を結び、『春華杏林医治伝』の時代には、女性医官が活躍するようになっているらしい!?
前作のヒロイン・珠里も登場!?!?!?
皇太后の病を癒し、莉国初の女医となった前作のヒロイン・范珠里。第2弾でも、ヒロイン春霞に重要な示唆を与える存在として登場します!!?
ある事情から結婚を望めず、家族からも疎んじられていた春霞(しゅんか)を救ってくれたのは、女性医官として生きる道だった。見事、最年少の医官となった春霞は、女子医官局長官の珠里(しゅり)の指示を受け、皇帝の妃の一人で、原因不明の皮膚疾患に悩んでいる犀徳妃(さいとくひ)の世話をすることになる。珠里が直々に診ているというのに、犀徳妃の症状はおさまるどころかひどくなっているらしい。珠里の薬の処方は正しいはずなのにどうして……? 「目に見えるものをよく見て。そして見えないものをよく考えなさい」何かを示唆するような珠里の言葉を受け、春霞は必死に原因を探ろうとするのだが!?