かける
選考結果発表
2017年秋に募集した「チョコレート小説賞」には、36本の力作が集まりました。
その選考結果を、一年でいちばんチョコレートが注目される今日・バレンタインデーに発表!
選者ふたりが楽しく悩みながら選んだ受賞作、あなたもぜひ読んでみて。
総評
選者 ミー
今回も、数多くの面白い作品をお寄せいただき、ありがとうございました。チョコレートはつくづく人心を翻弄する魅惑のアイテムですね。初恋あり、家族愛あり、コメディあり、SFあり、不条理あり、この世の終わりあり、多種多様なジャンルの小説が寄せられました。そんななかでアイテムの力を効果的に活かしながら、人物の魅力やドラマを展開させることに成功した作品が輝きを放っていたと思います。
編集 F
流行を意識しすぎたのかタイムスリップものがとにかく多かったです。作者自身が読み直したときに赤面したり、爆笑したり、泣きたくなったりするような人の気持ちを揺さぶれるものを書いてほしかったです。せっかくのバレンタイン企画だったので編集Fが真っ赤になるような甘酸っぱい作品に出会いたかったです。来年もこの賞を行うことができたら是非、選者が悶絶するような作品を読ませてください。
-
選評
とにかく麻理ちゃんがアホでかわいい! その麻理ちゃんに振り回される弟の晴君も嫌々と言ってはいるが姉に対する愛情に溢れていて、すごく愛せるキャラクターでした。キャラクターづくりのうまさとテンポの良い物語の展開が日常系コメディとして非常に完成度が高く、楽しませてくれました。
-
選評
おそらく大正時代、第一次大戦後の帝都東京が舞台で、深窓の令嬢と男爵家嫡男で陸軍大尉の青年の恋の物語です。親の決めた婚約者同士として出会った二人が反発しながらも惹かれあっていく過程を、みずみずしく、情感豊かに描いています。最後で話が急展開していくのもドラマティックで楽しかった。「チョコレート(この場合は「チヨコレエト」にした方が良かったかも)」は二人が距離を縮めていく場面で効果的に使われています。ただ、構成の点からいうと、メインの物語の頭と終わりを飾る現代のシーンは不要だったかもしれない。曾祖母の日記という体裁を考えると、人称が一人称でなければいけないのに三人称で描いてしまっているという問題もある。次小説を書く際にはそういった構成や人称のことも気にしながら書いてみてください。
-
選評
文章のうまさ、比喩の使い方のうまさは飛び抜けていました。ただ、物語自体がありきたりで読者を引き込む腕力に欠けていました。読者を泣かせたいのか、笑わせたいのか、ハラハラさせたいのか、読者の感情をどの方向にむかせたいのか意識すると物語の作り方がガラッと変わると思います。
「死にたがりの蝶」杏野かな/「初恋しょくらあと」川島 凜/「溶ける、その温度で。」坂ノ下三千/「花雪の祝福」砂冬ちよこ/「千代子とホットチョコ」三雪春惚/「チョコレートの魔法」村田海広