心霊H、ヒト怖H、おぞホラ(おぞましいホラー)O。ホラー好きなH₂Oがありったけの愛をこめて選ぶ「ホラー小説短編賞」テーマ“怖い家”は、計116本の応募が集まりました。たくさんのご応募をありがとうございました。
受賞作・選外佳作の計12作品を、H₂Oの選評とともにご紹介します。
※掲載は応募番号順
『エスカの家』
黒瀬かすみ
西條明彦の善人面が良い。そしてそれが静かに剥がれていくのも良い。少女の口から語られる、童話に出てきそうな美しい家の描写も良い。背中におぶっている少女がおぞましいものに変化していく様も、読んでてぞわぞわしてこれまた良し。すべてを操る存在のネタあかしがちゃんとされているが説明しすぎずほどよく、鮮やかな手腕。
『理想の家族』
箕田はる
家が日常を侵食し、人を変えていく。だけどその家でしか手に入れられない理想がある…! 理想の家族を手に入れるために、家族を犠牲にするという選択に恐怖を伴う説得力があり、共感できました。人×心霊×場所の怖さにゾクゾクしました。この土地について、前に住んでいた家族などを出して暗示するともっとよかった。
『シンモクさま』
なゆさ
笑顔の下で怒りを募らせていくおばあちゃんの描写に引き込まれる。また、子供時代の日記と大人現在のパートを交互に入れることでじわじわ真相が分かる展開が良い。“シンモクさま”自体はそれほど新鮮味のある要素ではありませんが、だんだん傾くという演出と高まる緊張感のリンクは秀逸。個人的には佳孝のクズっぷりに感嘆。怒りが爆発したきっかけの“かめまる”の存在も◎。
他の追随を許さない強烈なインパクトと圧倒的な熱量があり、H₂O誰も無視できなかった。だけど誰も一押しできなかったのは、作為なのか技量不足なのか判断つきかねる拙さがあったため。屋内の描写がわかりにくいのも残念。
H₂Oの選評
虫、おぞましくていいですよね。残念なのはシロアリが何の隠喩かわからなかったこと。
H₂Oの選評
伝わらないもどかしさが◎。実はお母さんも床下に…など仕掛けがあればなおよかった。
H₂Oの選評
尊大な高橋と気弱な後輩の立場が逆転するのが面白かった! が、最後分かりづらかったのが残念。
H₂Oの選評
つるつる読まされて、最後「この語り手ガールじゃないじゃん!」と気づく仕掛けが楽しかった。
H₂Oの選評
下田老人が気持ち悪くて良かった! 強いて言えば、食べられるシーンもっと頑張ってほしかったです。
H₂Oの選評
「聞こえている」ことが分かる条件付けが良い。予想を外してくる展開にワクワクしました。
H₂Oの選評
定番ではあるが安定。短編なので前半は少し削り、怪異の盛り上げに紙幅を割いてほしかった。
H₂Oの選評
不気味な演出は◎。結城が男の服装を知っていた理由など伏線が回収されず残念。