かける
コバルト文庫編集部では、WebマガジンCobaltオープンをきっかけに、「書きたい」皆さんのための投稿企画をよりパワーアップ!
その第1弾として開催された『桑原水菜プロデュース!!』では、桑原先生が出題する「お題」から始まる小説を募集しました。
今回、いよいよその選考結果を発表!5月12日の〆切までに集まった125通の力作から、桑原先生が選んだ作品とは?
桑原先生の鋭い選評にもご注目!
選評
標的はまさかの「着ぐるみ」!!
この時点で珈琲噴きそうになりました。「標的」の意外性が抜群すぎ。しかも「出オチ」になりかねないところを見事に引っ張り続け、やがて謎のホラー展開へと。……最高だと思いました。着地もお見事です。こりゃ怖いわ。
キャラの動物たちが真っ青になって、撃たれたクマにあわあわ駆け寄る光景を、照準レンズ越しに見てる場面とか、めちゃめちゃ目に浮かびました。ちょっと可愛い。
ハードボイルドと笑いとホラーの三位一体な匙加減もツボでした。
インパクト大、面白かった!
「何故脱がない!?」
選評
こんなにハードボイルドに始まっておいてからの、猫かわいい。主人公の猫愛がダダ漏れしているギャップが最高。あと最後の一文がいい。万人が納得。
「いいなあ猫。猫飼いたいなあ猫」
選評
主人公の謎のこだわりが秀逸すぎ。思わず「そこ!?」とツッコんでしまった。ソが多すぎる名前もすごいけど、人を食ったオチもいいですね。
「……天に召されろ、ソソソムソ・エンブソーソソ……?」
選評
標的が女装……。絵面的にはそうとうおかしなことになっているのに展開はまっとうに進んでいくので、この笑っていいのかいけないのか、わからない感じがじわじわくる。マイノリティの悲哀が妙に心にしみた……。
「この姿を褒めたのは、お前が初めてだ」
選評
妹の裏切りからの愛憎ドロドロしかも官能の香り付き。なんとも皮肉な展開だけど、ダークな中にも主人公の意志あるラストは、他の「妹標的」作品とは一線を画していたようです。
「正真正銘の初仕事だ。楽しんでこいよ、相棒」
選評
中盤でのまさかの主人公死亡。しかも撃ったのは妹。という意表をつく展開がリーダビリティ抜群でよかった。妹の動機を語る後半に、もう一仕掛け欲しかったかも…
「鉄の臭いが姉にこびり付いていく」
桑原水菜先生より
呈示されたひとつのシチュエーションから、その展開を描く。というお題でしたが、バリエーション豊かで、読むのが楽しかったです!
枚数の短さもあってか、意外性で勢いよく攻めたものが、やはり印象に残りやすかったかと。短距離的なSSならでは、ですね。
あと「お題」からのギャップある展開も。読み手をどう裏切っていくか、そこに着目した作品が勝ち残ったようでした。そして仕掛けに(破天荒であれ)どう説得力を持たせるか。短い中でギュッと無駄なくこれをやるのは、実はなかなか難しいのです。
果敢な方がたくさんおられて、頼もしい限りでした。
当初はベストな一作のみを選ぶつもりでしたが、これはですねえ、競作で読み比べるのが一番面白い! 次のはどんなネタでどんな展開がくるかな? と読んでいてワクワクしますよ。是非おすすめしたい。
第二弾的なものもあるかもしれませんので、是非またチャレンジしてください。
担当編集エリーからひとこと
応募作を読んでいて意外だったのが、暗殺者が女性キャラの作品が六割を超えていたこと。ハードボイルド風のお題なので、もっと男性キャラが多くなるかと思っていました。
また、標的は「妹」「私」「ボス」の3パターンが多かったものの、キャラや展開、オチのつけ方などはそれぞれ個性的で、とても楽しかったです。まさしく、読み比べるのが面白い!
ご応募くださったみなさま、ありがとうございました。