02月05日更新
【第210回短編小説新人賞入選】パッチワーク
「お願い。私に、何か教えて。なんでもええから、ひとつ。おもろいこと」
雪に閉ざされた田舎町に暮らしていた十七歳の京子は、高校の閉鎖された旧図書館に忍び込み、閲覧室でたったひとり読書に没頭する時間を何よりも愛していた。しかし、京子の完璧な空間は、予期せぬ闖入者・環の出現で破綻する。酒場に勤める母をもち、彼女自身も様々な男と気まぐれに関係を持つ一方、授業にも出ず自分のことを「阿呆」と卑下する環は、なぜかおそろしく広範で雑多な知識を持っていた。彼女はどこでその知識を得たのか。そして京子は、優等生の自分と何もかもが正反対の環になぜか惹きつけられていき--!?
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- 最新版2021年02月05日更新