編集A
色彩イメージがきれいな作品でしたね。独特の雰囲気があるのもよかったです。
短編小説新人賞
選評付き 2017年度
色彩イメージがきれいな作品でしたね。独特の雰囲気があるのもよかったです。
一行目から、作品世界に引き込まれました。描写もうまかったですよね。
ただ、日常へと戻っていく主人公に、何の変化も起こっていなかったのは残念でした。
あと、「日常」を青で、「非日常」を赤で象徴して描いているのはすごくよかったのですが、惜しくもラストでそれが崩れてしまっていましたね。そこがうまくいっていたら、さらに完成度の高い作品になっていたと思います。
キャラクター同士の掛け合いが楽しかったです。
私は本当に、この作品のキャラクターたちが好きでした。
愛しいキャラクターたちがいっぱい出てきましたね。
脇役の友人や先生までもが、すごくよかったですよね。記憶に残る登場人物たちです。
「野球」に関する部分には下調べが足りていなかったですが、それを凌駕するくらい、魅力の詰まった作品だと思います。
これはとても秀逸な作品でした。心理描写もいい。一人称で語る主人公が、苦しみや寂しさを軽い語り口の下に隠しているのが、逆に胸に迫ってきます。
切なさや切実さが感じられますよね。
投身自殺して海の底にいる人と、イヤホンで繋がるという発想もよかった。
海底の彼女と通信するシーンも、非常にうつくしかった。「急にファンタジーに......」とは思わせない説得力がある。主人公に読者が思い入れ、彼女の心情にリアルさを感じることができたからだと思います。
で、主人公もちゃんと、「私の勝手な妄想かも知れない」と言っている。
そのあたりの塩梅が絶妙でした。
ビジュアルもすごくよかったと思います。
日常の風景がきらめいて見える描写でしたよね。とても好きな作品です。
これはとても感動的でした。私はラストで大号泣しました。
僕も好きな作品です。特に、終盤の合唱シーンは素晴らしかったですよね。
エモーションが炸裂するところが、うまく描けていて、胸に迫りました。
圧巻でしたね。
人物描写や心理描写も、とてもうまかったと思います。学校での微妙な人間関係、生きづらさを抱えている少年、違和感を抱えながらも自分を偽っている主人公。そういったあれこれが、歌声の高まりとともに力強く昇華していくクライマックスは、本当に見事でした。しかも、安易なハッピーエンドではない。「明日からはまた元通りかも」という冷静な視点がちゃんとある。そういうあたりもすごくよかったですね。大好きな作品です。
すごく斬新な話でしたね。
「タフォニ」という要素を、非常に巧みに話に組み込み、テーマに活かしていましたね。とてもうまいなと思います。主人公の想い人である、優しくて優柔不断な大学の先生の描き方もよかったです。「こんな男を好きになったら、不幸になる」感が、よく出ていた。
同時に、女の独占欲も、思いもかけない強烈さで描けていました。
恋心を掘り下げた作品になっていて、とてもよかったと思います。
可愛い雰囲気の作品でしたね。
文字組みがぎゅうぎゅう詰まっているんだけど、すごく読みやすかったです。
夢に入ってくる女の子が、とても可愛らしかったですね。
夢の中で、二人で気を遣い合ってるところも好きでした。「ごめんね、妙な服着させちゃって」「こちらこそ、お邪魔しちゃって」みたいな(笑)。
あと、主人公が真相を詮索しないところが、私はすごくいいなと思いました。登場人物に品性が感じられますよね。作者の、人間や世界の捉え方そのものに、品があるからなんだろうなと思います。
ラストも、希望が持てる感じでいいですよね。
はい。明るい未来へと激変したというわけでは決してないんだけど、その辺りの塩梅もまた、すごくよかったなと思います。
女子の会話が、リアルでよかったです。
リアル女子のやり取りとか、距離感、空気感といったものが、とてもよく出ていたと思います。うまいですよね。
ちょっと露悪的な一人称の語りを通して、実はとても深い友情が描かれているんですよね。最後まで読むと、腑に落ちる感じでした。
ただ、ちょっとよくわからない書き方になっているところがいろいろあって、読者が戸惑うのではという懸念もありましたね。
受け取り手によって、解釈の分かれる作品ですよね。でも私は、そこもこの作品のいいところだと思います。あれこれ想像しながら、楽しく切なく読みました。主人公が語っていることを、文字通りに信じて受け止めているだけでは、見えてこない「何か」がある。そういう重層性と奥行きのある作品で、「小説を読む」という行為の楽しさと刺激を味わえました。