編集D
定時制高校に通う16歳の女の子・美月が主人公です。ある日、6歳年上のクラスメイト・滝さんに呼び出され、「もしかして告白!?」などと思っていたら、彼の口から出た言葉は「弟子にしてください」。どうやら、コミュニケーション能力の低い彼にとって、年下とはいえ、明るくて社交的な主人公は「尊敬する人」であるらしい。勇気を振り絞って頼んできている様子にほだされ、ついOKしたものの、実は主人公のほうも人付き合いには問題を抱えていて――というお話です。
初めのうち主人公は、「滝さんが変われるよう、力を貸してあげなきゃ」と思って世話を焼いていたのですが、彼と関わるうちに、次第に美月自身にも変化が生じてくる。へらへらと八方美人でいることができなくなり、父親と派手に衝突したりしますが、同時に、今まで見ないふりをしていた自分の本心とも向き合うようになります。登場人物たちが、互いに関わり合うことによって、それぞれ前向きに変化していくという、真っ当で気持ちのいい作品に仕上がっていました。
キャラたちに嫌味がないし、描写もきちんとしているし、展開が中だるみすることもない。話としてすごくうまくまとまっていますよね。総合評価が高いという点で、僕はイチ推しにしました。まあ多少、無難にまとまりすぎかなという気がしないでもないのですが。予定調和的というか。