編集A
主人公は、中学二年生の男の子です。小さい頃から有名な合唱団に所属し、ボーイソプラノとして活躍していたんだけど、思春期に入り、声変わりの時期を迎えている。これはどうしたって避けられないことですが、それまで当たり前のように持っていた「高く美しい声」を失いつつある主人公は、苦悩します。同じ頃、学校でも校内合唱コンクールに向けて練習が始まり、主人公は重要な戦力として期待される。しかし、思うような声が出せない主人公にとっては大きな負担でしかなく、彼はさらに焦りと懊悩を深めていく。そしてその頃から、不穏な夢を頻繁に見るようになるのだが……というお話です。アイデンティティーの危機に瀕した主人公が、悩み苦しんだ末に、変化していく自分を受け入れて前を向く。その過程や心情を、かなりうまく描けていたと思います。