編集H
人づきあいがあまりうまくできない大学三年生の女の子、美波のお話です。楽しそうに大学生活を謳歌している周囲の学生たちとはどうにも馴染めなくて、一人でいることが多い。せっかくの夏休みも、ゼミ仲間が真面目にやらない課題に一人取り組んだりして、地味な毎日を過ごしています。そんなモノクロームの生活に、ふとしたきっかけでサッと光が差し込み、世界が色づき始める様子が描かれています。作品前半の雰囲気がおとなしめでパッとしなかった分、後半部分の輝きが余計に眩しいですよね。引っ込み思案だった女の子の世界の色づき方がとても鮮やかだったので、私はイチ推しにしています。
主人公のキャラクターもいい。落ち込んでじゃぶじゃぶ顔を洗ったあとに、ハンカチを忘れているのに気づいたり。舞い上がった後でやっぱりまた落ち込んで、自信作の歌詞の紙をトイレに流したら詰まってしまって、慌ててすっぽんを持ち出すハメになったり(笑)。トイレでの自分の取り戻し方がすごく面白いというか、おかしみがあって、とてもよかったと思います。