編集A
高校生のときの進路選択は人生を大きく左右しますから、誰しも迷い、悩みますよね。この作品の主人公の楓は、高校三年生の女の子。美術大学へ進学しようと、日々描画に取り組んでいます。でもなかなかうまくいかず、先生にダメ出しされてばかり。表現者にとって重要な、「自分は何を表現したいのか」ということさえ、わからなくなってしまっていた。そんなある日、同じように絵を好きだった昔なじみの友人・芽衣が、「久しぶりにゆっくり会いたい」と声をかけてきて……というお話です。芽衣は彼女なりの考えに従って行動し、結果的に楓の気持ちをかき乱して去っていった。でも楓は、自分の感情の揺らぎを懸命に受け止め、絵にぶつけることで、伸び悩みから脱することができました。そしてそれにより、美大合格や美術の仕事へと、さらに道が繋がれていったわけです。思春期特有の悩みや苦い思い、言葉にできない感情といったものを、芸術へと昇華させていった主人公の姿がよく描けていたと思います。作品イメージもすごくきれいでしたね。